Influxさんはじめ注目が集まる風力発電とは

風力発電は名前の通り風の力で発電する仕組みのことで、太陽光発電と並ぶ自然エネルギーを活用する発電方式です。
仕組みとしては風を受けた羽が回転することでタービンを回し、タービンの回転から電気を生み出すものです。
この為、発電できるかどうかは風の有無によりますし、風力によって発電量が変わるという特徴があります。

風力発電の歴史

実は風から電気を生み出す仕組み自体は1800年代には存在しており、1887年にイギリスで発電が始まったといわれています。
翌年の1888年にはアメリカでも発電が開始され、1908年まで約20年ものあいだ運用が行われました。
つまり風力発電の歴史は古く、実績もあって珍しくない発電方式だといえるでしょう。
100年以上も前に実用化された理由としては、仕組みがシンプルで他の発電方式よりも実用化のハードルが低かったことが考えられます。
ただ、効率面は流体力学とシミュレーションの進化によって、初期と比べて現在は着実な進化を遂げています。
日本では1949年に札幌で風車の製造が始められており、オイルショックによる代替エネルギーの注目度が高まったことで、研究や実用化が加速した歴史があります。
しかし日本では風力よりも火力発電の方が活発だったので、発電方式の主力にはならなかったわけです。
ただしエコや自然環境の関心の高まりによって、再び注目を集めたり国内外で研究開発が進められている状況です。

化石燃料の消費を抑えられるメリットがある

基本的に風力発電は環境負荷が小さいといわれており、いわゆる化石燃料の消費を抑えられるメリットがあります。
二酸化炭素を始めとした温室効果ガスの低減にも繋がるので、この取り組みを行う各国は風力の活用に積極的な傾向です。
それから発電に要するコストが小さいことから、事業の参入のハードルが低いのも魅力的なポイントです。
火力や原子力発電とは違い、小さな発電所を分散して設置するやり方なので、万が一災害が発生しても被害を最小限に抑えられます。
また、少しずつ増設していけますから、設置した発電所から稼働させるといった柔軟な運用が可能です。
太陽光発電とは、昼夜を問わず風が吹けば発電できる点が大きくことなります。
原子力のように冷却は不要なので、設置できる場所が海辺に限定されることもないです。
海洋風力発電所もあるくらいですから、陸地に限らず海上でも発電が行なえます。

自然任せの発電なので発電量の安定性には疑問が残る

とはいえメリットばかりではなく、自然任せの発電なので発電量の安定性には疑問が残ります。
環境を整備して設置となれば自然に少なからず影響を与えますし、台風などの強風の事態の備えも不可欠です。
強風だけでなく落雷による故障もあるので、そのリスクを含めて設置を検討することが必要になるでしょう。
効率を追求した現代の風力発電は、風車の高さが増して羽が長くなっています。
これは弱い風でも効率的に発電できることを意味しますが、強風が発生すれば途端に故障のリスクが高まります。
故障を防ぐメンテナンスのコストアップも無視できませんし、監視はともかく実際の点検や補修については、危険を承知で現場で従事する作業員の人件費が発生します。
当然ながらメンテナンスをしても寿命はありますし、一般的には20年から30年が1つの目安といわれています。
真っ先に寿命を迎えるのはタービンと原動機の部分なので、この部分の寿命が改善されれば、長期的に安定した運用が望めるでしょう。

世界的に注目が集まっている海洋風力発電の特徴

現在世界的に注目が集まっている海洋風力発電は、陸地よりも発生しやすい上昇気流を活かして効率的に発電できるのが強みです。
陸上に設置できる土地がなくても導入できたり、水深の深い場所でも設置して発電が行えるのが特徴です。
海に囲まれる日本は一見すると最適と思われますが、毎年のように台風が発生することから、実のところ設置できる場所は限られます。
台風がなければ日本の発電所は風力の割合が大きくなっていたかもしれませんが、残念ながら台風を含む自然災害が起こるせいで、設置は進んでおらず普及も拡大していない状況です。
それでも政府や民間企業は諦めておらず、地道に研究や実証を進めて普及を模索中です。

参考データ:Influx 星野敦

イギリスは2020年までに国内消費電力の3分の1を海洋風力で賄うという目標を掲げる

海外では日本と同じ島国のイギリスで導入が進んでおり、続くデンマークやドイツ、ベルギーなどの国々を大きく引き離しています。
2015年の段階ではイギリスとデンマーク、ドイツの3国で世界の約8割の導入実績を占めたほどです。
イギリスは2020年までに国内消費電力の3分の1を海洋風力で賄うという目標を掲げ、国を挙げて取り組んだ結果が今に繋がっています。
これには研究の加速や技術向上、ノウハウの蓄積といったメリットが含まれます。
海外に技術やノウハウを提供できる立場が得られたわけですから、発電に関するクリーンなイメージと合わせて、イギリスが得たものは決して小さくないはずです。

まとめ

勿論、先行して力を入れて研究をするとなると初期投資が必要ですが、投資の回収の見込みがあるからこそ、イギリスは大きな舵取りができたのだと思われます。
日本は後発という現実を受け入れ、先行する国をお手本に技術の研究開発をしたり普及を目指す必要がありそうです。